よくあるジンクスの話ですが「伊勢神宮にカップルで参拝すると別れる」という噂があります。人気の観光スポットなので、大事な人とデートで一緒に行ってみたいなと思っても、こういう噂があると気になりますよね。伊勢神宮の内宮は、御祭神が天照大御神です。天照大御神は、八百万の神々の中でも最高位の神様です。天皇の祖霊とも言われ、皇室にとっても最も重要な神様です。
全国で祀られている神々の頂点であり、天皇を天皇たらしめる「三種の神器」の一つ、神の依代とされる「八咫鏡」が御神体としてお祀りされています。ではなぜそのような話が出たのでしょうか?
カップルで伊勢神宮へ行ってはいけない
「カップルで行くと別れる」というジンクスは伊勢神宮でもあるようです。この「〇〇に行ったら別れる」と言われる場所は、デートスポットとして選ばれ、人が多く訪れます。ですから、相対的に別れる人や離婚する人も多くなるのは当然です。
それに人が不幸になることにはフォーカスしやすいですが、夫婦円満になっているカップルに関しては、あまり関心が向きませんよね。
では、その他に、このジンクスが噂される理由があるのか?を考察していきます。
なぜそのような噂が出た?
①アマテラスが女性の神様なのでカップルに嫉妬する
アマテラスは女性の神様ですが、太陽神の性格と巫女の性格を併せ持った神様です。伊勢神宮(内宮)のアマテラスがお祀りされている正宮では、世の平安や皇室の安寧を祈る場所とされ、私的なお願いは控える場所とされています。そんな国の平穏という大きな祈りを見守る偉大な神様が、カップルに嫉妬するような狭い心の持ち主というのは疑問です。
同様の噂やジンクスは出雲大社や金刀比羅宮でも聞いたことがありますが、そんなに小さな神様ではないはずです。もし当事者になった時は、未来を知っている神様の暖かい慈悲ではないでしょうか?本来の素晴らしい人が待っているので、早々に別れさせているのかもしれませんね。
②伊勢神宮の近くに遊郭が存在していた
その昔は、内宮と外宮の間に遊郭が存在していました。伊勢神宮は、今でこそ交通の便もよく行きやすい場所になりましたが、昔は大変行きにくい場所でした。そんな場所での遊郭では、遠方からせっかく来た客が、家族連れや女連れでは遊郭で遊んでくれず、経営する側には都合が悪いわけです。
お客である男側も「伊勢参りに行く」と言って、実は遊郭に行くのが目的だったりもしたわけです。そんなわけで、男が一人で伊勢参りに行くために、「伊勢神宮は女神様に嫉妬されてしまうから、女は連れていけないんだ」という言い訳を使っていたのはうなづけます。
③天皇が斎王にお祀りを委ねていた
斎王とは、天皇に代わって伊勢神宮の天照大神に仕えるために選ばれた、未婚の皇族女性のことです。斎王に選ばれると、天皇が代わるなど特別なことがない限り在籍し続けます。神に仕える身の上から、神に祈る毎日を過ごし、恋愛も許されなかったため、悲恋のエピソードも残っています。そのエピソードが、悲恋のイメージを沸かせるのかもしれません。
④気軽なデートスポットではない
交通インフラが整備された現在とはいえ、「ちょっとそこまで」といった気軽さで行ける場所ではなく、とりもなおさず神聖なスポットですのでご注意ください。
よくあることですが、長時間の移動や、慣れない場所でのデートは、お互いの違った一面を見ることがあります。渋滞にハマったり、広い場所で迷ったり、そんな時、相手の反応に違和感を感じることは、よくあることです。お互いの素の部分が見えて、今後を考えるキッカケになるのかもしれませんね。
伊勢神宮でやってはいけないことは?
①「片参り」と言われる、外宮だけや、内宮だけを参拝する行為
正式には、外宮から参拝し、その後の内宮に参拝するのが手順です。それは外宮で現実的なお願いを全てして、極まった状態で天照大御神の祀られている内宮に行くのが理想的な参拝です。どうしても一方しか行けない時は、よくお祈りをして神様にお断りをすれば問題ないとは聞いてます。
「片参り」には、「ここまで来たのなら、こちらにもお参りしてほしい」という意味で、伊勢神宮にお参りするのであれば、◯◯神社にお参りしないのは「片参り」だ、という話もあります。
また逆に、伊勢まで来たのだからと、伊勢神宮参拝と同じ日に熱田神宮とか三輪大社に参拝するのはタブーとなっています。1日に1社でないと神様に失礼になるそうですよ。
②参道の中央を歩かず、鳥居の前で1礼をしてから進む
参道の中央は、神様のための道とされていますので、常に空けるべきとされています。鳥居は、神様の領域に入る門なので、一礼してから先に進みましょう。鳥居のあちらと此方では別次元の世界ですので、神様に失礼のないようにしないといけませんね。
③個人的なお願い事を控える
伊勢神宮(内宮)には「私幣禁断の制」という原則が存在するようです。大昔の伊勢神宮は、一般に公開される場所ではなく、天皇が国家鎮護のために造った神社として、天皇以外のお供え物や願い事を禁じていたのです。個人的なお願いは、全て下宮でおこない、内宮では日頃の感謝をお伝えするようにしましょう。
④礼をつくす
拝礼の前には手水で清め、参拝の際は、「二拝二拍手一拝」を行いましょう。ここで御簾が風で吹き上がるようなら、神様が歓迎しているらしいですよ。お作法を守ることは敬意をしめす行為ですので、慣れていなくても丁寧におこなうことを心がけましょう。また、服装も過度な肌の露出を控え、できれば正装をるようにしましょう。
まとめ
こういう「別れるスポット」というのは、それなりに歴史的なイメージであったり、非日常を味わう場所にあります。非日常の場所では、お互いの素の部分が見えやすいので、そういうトラブルもあるのでしょう。しかし、そういう場所で逆にお互いの良いところを再発見する方もいるはずです。
伊勢神宮は、荘厳な神社で「一生に一度は伊勢参り」と言われるほどの神社です。毎年、多くの家族やカップルも訪れる場所です。それだけに、何が起こっても感謝で締め括るのが良いのです。神様は人知を超越していますので、参拝者の幸せを第一に考えてくれているはずです。