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阪神淡路大震災からの復興。ベルシューズが「やさしい靴工房 Belle」として歩んだ再生の道

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生活

阪神淡路大震災からの復興。ベルシューズが「やさしい靴工房 Belle」として歩んだ再生の道

靴の街・長田の中心で、絶望に直面したベルシューズ

神戸・長田は「靴の街」として知られ、多くの靴メーカーや工房が軒を連ねていました。ベルシューズもその一角を担い、1969年の創業以来、真摯な靴づくりを続けてきた会社でした。得意先に向けた卸販売を中心に展開し、着実に信頼を積み重ねていた矢先に襲った大地震。社屋の被害はもちろん、取引先の多くが倒産や営業不能に追い込まれ、販路を一気に失います。

とりわけ打撃が大きかったのは、売掛金や手形の不渡り、資金繰りの崩壊でした。会社は文字通り自転車操業の状態に陥り、「このままでは潰れる」という状況の中で、ベルシューズは存続の道を模索し始めます。

震災がもたらした「気づき」──ビジネスモデルの転換

震災という大きな危機を前に、ベルシューズが出した答えは「直販へのシフト」でした。従来は卸業者や小売店を介して顧客と接点を持っていた同社ですが、これでは取引先の倒産がダイレクトに経営を脅かすことが明白になったのです。

そこで、ネット販売という新しいチャネルに活路を見出します。当時はまだECの黎明期。インターネットで靴を売ることに対して「本当に売れるのか?」という不安の声もありました。しかしベルは、「お客様の足にやさしい靴を、直接届けたい」という想いを胸に、一歩踏み出しました。

そして社名も「やさしい靴工房 Belle」として再スタート。新たなブランディングとともに、より丁寧な顧客対応、柔軟なオーダー対応を強化していきます。

顧客の“声”に寄り添った靴づくり

震災を機に見直されたのは、販売チャネルだけではありません。製品づくりの姿勢にも変化が起こりました。

やさしい靴工房 Belle では、「履き心地」「足へのやさしさ」「長時間履いても疲れにくい」というコンセプトを徹底。特に人気を集めているのが「ヴィーナスパンプス」シリーズです。これは「一日中履いても疲れないパンプス」をテーマに、社内スタッフの試着を何度も重ねながら設計された製品で、前滑りを防止する特殊な構造や、つま先に負荷がかかりにくい設計が特徴です。

また、左右サイズ違い・幅広・幅狭などのカスタムオーダーにも対応し、「合わない靴で我慢する」ことのない靴選びを可能にしました。

被災地から、全国へ──共感を呼んだストーリー

ベルの再建の歩みは、単なる企業再生ではありませんでした。それは、震災を経験した地域の“希望の物語”でもあったのです。

「大きな災害に遭っても、人の想いと努力でここまでできる」という実例は、多くのメディアでも紹介され、全国の共感を呼びました。ファンドを通じて支援を募った際には、全国から支援者が集まり、共に「ものづくりを守りたい」という思いが形となったのです。

そして現在では、楽天市場やYahoo!ショッピングなど各種ECモールでも高評価を獲得し、「やさしい靴工房 Belle」は全国に多くのファンを持つブランドとなりました。

最後に──震災を経て得た「やさしさ」

震災は確かに多くを奪いました。しかし同時に、ベルシューズに「何が大切か」を教えてくれたのも事実です。

「お客様と直接向き合うこと」
「一人ひとりの足と暮らしに寄り添うこと」
「やさしさを軸に、モノをつくること」

その信念が、今の「やさしい靴工房 Belle」を支えています。

27年以上の時を経た今、ベルは単なる靴メーカーではありません。「震災を乗り越えたやさしさのブランド」として、多くの人の足元に希望を届け続けています。

中小企業への提言

中小企業が学ぶべきは、「個性を主張して差別化しなければ成功しない。いかに他店とは違う品物を提供できるか、差別化したサービスを提供できるか、そこが重要!」ということではないでしょうか。

震災後のベルの足跡はまさに、差別化を追求し、試行錯誤と努力を積み重ねてきた歴史だと言えます。

「他社と同じことをしても意味がない。自分たちにしかできない価値を提供したい」と力強く語る高山氏とベルの社員は、一丸となって、商品づくりに取り組みます。その妥協を許さない徹底したモノづくりの姿勢は、これからも多くの消費者の心を掴み続けていくことでしょう。

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