日本では「八百万の神と言い、あらゆるところに神様が居る」という考え方があり、仏様とともに日常生活に溶け込んでいます。神様の中、ご利益でお馴染みなのが、宝船に乗った「七福神」です。七福神は室町時代中期にはすでに確立し、人々が手を合わせていました、そして今でも大切にされています。これはご利益が間違いないですね。
七福神の名前と意味やご利益
おめでたい神様が勢揃い!
七福神(しちふくじん)は、日本で福をもたらすとして信仰されている七柱(はしら)の神様をまとめたものです。
*日本では神様の数え方は「柱(はしら)」となっているので、七福神は七柱といいます。
- 恵比寿(えびす)
- 大黒天(だいこくてん)
- 布袋(ほてい)
- 福禄寿(ふくろくじゅ)
- 寿老人(じゅろうじん)
- 毘沙門天(びしゃもんてん)
- 弁財天(べんざいてん)
七福神の意味とご利益は?
七福神それぞれの神様の意味とご利益を紹介します。
恵比寿(えびす)
日本生まれの神様で、商売繁盛・五穀豊穣をもたらす福の神です。有名なのが関西の西宮戎です。「商売繁盛で笹もってこい!」ここでいう笹とは、さっさと行動するとか、「笹に黄金が成り下がる」というように財がつくことを意味してるんです。また、釣り竿を持ち手に大きな鯛を抱えておられる。あの鯛を釣り上げるのは並大抵ではないが、ニコニコして、辛抱強く何日も待ち、大きな鯛を釣り上げたのです。
福運を5倍にする恵比寿流の極意
自己の信念を太くする
いつもニコニコして笑顔を絶やさない
嫌なことを聞いても聞き流す
右手に鯛、左手に釣り竿を持った姿で描かれます。
大黒天(だいこくてん)
食べ物や財福を司る神様で、打出の小槌と大きな袋を持った頭巾姿で描かれます。元々はヒンドゥー教の神様「シヴァ」の化身である、「マハーカーラ」という神様でした。
大黒天様が肩に背負っている袋には、人々から吸い取った災禍苦難と福徳が入っているといいます。また、小槌は怠け者に対して無条件で福徳を与えるわけにはいけないので、一生懸命に頑張りなさいと、怠け者の頭をコツンとやるためらしいです。
家を支える柱を大黒柱というように、実に頼りがいのある神様です。スムーズに働いていただくには、水とお米をお供えするとよいですよ。
日本で「大国主(おおくにぬし)」という神様と同一視され、大黒天と呼ばれるようになりました。大国主は出雲神様で7つのお名前がある神様です。大黒天は最澄が唐から持ち帰った仏様と記憶しています。違いがあるとは思いますが、長年信じられていればそうかなとも思います。
布袋(ほてい)和尚
中国に実在した人物の僧侶「釈契此(しゃくかいし)」であり、人々から弥勒菩薩と崇められるようになり、日本に伝わりました。
名前の由来は、常に大きな袋を持っていたからです。そのため絵でも大きな袋を持った、お腹の出たふくよかな姿で描かれます。大きな袋には人間のいい面も悪い面も入っており、腹は全てを飲み込んでしまう度量を示し、軍配は善悪の是非を判断する物です。ご利益としては、無病息災・家庭円満・金運をもたらしてくれます。
福禄寿(ふくろくじゅ)
長寿と幸運をもたらす神様で、長い頭とあごひげ、とても大きな耳という姿で描かれます。また右手に巻物・左手に杖を持ち、一緒に鶴が描かれるんですよ。
元々は道教の神様で、南極星の化身である「南極老人」で、南十字星に住んでおられる、福と禄と寿の理を示す神様なのです。
寿老人(じゅろうじん)
寿老人は福禄寿と同じく、道教の「南極老人」が変化したものです。南十字星の一つ、カノープス神の化身で、非常に頭がいい神様です。徹底して合理性を追求する賢さのある神様で、知恵者のマナーを示しています。
あごひげと杖を持つ姿は福禄寿に似ていますが、頭巾と手に持つ桃、一緒に鹿が描かれる点で違いがあります。桃は霊薬や宝珠に変わることもありますが、これは不老長寿のご利益を持つ神様だからです。
毘沙門天(びしゃもんてん)
必勝祈願の神様で、右手に宝棒・左手に宝塔をもった鎧姿で描かれます。また家内安全や財産・金運をもたらす神様として、広く信仰されています。元々はヒンドゥー教の「クーベラ神」でしたが、仏教に取り入れられ毘沙門天となりました。
七福神の中で最も厳つい格好をしている毘沙門天は、別名多聞天と呼ばれ、四天王の一柱です。北の守りを任された武神です。実は最初は強烈な祟り神で悪の限りを尽くしていました。ところが、ある日お釈迦様に出会い説教を受けます。そこで毘沙門天は改心し、人々が悦びに満ち溢れる顔を見ることに心の満足を覚えるのです。
そういう毘沙門天であるので、悪に打ち勝つ力はピカイチなのです。特に武神であるため競争においてライバルに打ち勝つパワーは絶大です。上杉謙信や楠木正成などは、毘沙門天パワーで時代を切り開いていますよね。
弁財天(べんざいてん)
七福神で唯一女性の姿で描かれ、琵琶をもった天女の姿または鎧姿で描かれます。ヒンドゥー教の「サラスヴァティ」という、水を司る神様でした。そのため恵みの神と、学問や芸術の神という二つの側面を持っています。
もともとの本地は、スサノオノミコトの剣から現れた三女神が元祖です。剣は物を二つに切ってどんどん増やしていくことから、経済という意味を持ち、財物に対して霊験あらたかなのです。地に顕現する時は白蛇、天に現れて白龍神となります。
そして、女性神であるがゆえか、非常に愛嬌が良い。出世し、財を成す人は例外なく愛嬌がありますね。愛嬌があって天下を取った人物は、かの豊臣秀吉です。
弁財天の弁は、口が達者になるを意味しています。愛嬌があって弁舌が立てば、金運、財運をつかみ易いですよね。弁財天は、金運招来の神として、根強く信仰されています。これは確かにご利益があるという証です。
七福神の特徴やご利益まとめると
簡単に、七福神の特徴やご利益を表にまとめておきます。
七福神 |
特徴 |
ご利益 |
元の国や宗教 |
恵比寿 えびす |
鯛と釣り竿 |
商売繁盛・五穀豊穣 |
日本 (神道) |
大黒天 だいこくてん |
打出の小槌と大きな袋 |
食べ物・財福 |
インド (ヒンドゥー教) |
布袋 ほてい |
大きな袋・ふくよかな姿 |
無病息災・家庭円満・金運 |
中国 (仏教) |
福禄寿 ふくろくじゅ |
長い頭・あごひげ・大きな耳 |
長寿・幸運 |
中国 (道教) |
寿老人 じゅろうじん |
あごひげ・頭巾・(桃・鹿) |
長寿 |
中国 (道教) |
毘沙門天 びしゃもんてん |
宝棒・宝塔・鎧姿 |
必勝・財産・金運 |
インド (ヒンドゥー教) |
弁財天 べんざいてん |
天女・琵琶 |
恵み・学問・芸術 |
インド (ヒンドゥー教) |
七福神の由来
室町時代には信仰されていた
七福神はいつから信仰されるようになったのかは、はっきりしていません。元々日本の神様だった恵比寿と、インドのヒンドゥー教で信仰されていた大黒天・毘沙門天をまとめて信仰する動きが平安時代末期にありました。そして鎌倉時代になると、毘沙門天の代わりに弁財天を加えて信仰することもありました。室町時代になると布袋・福禄寿・寿老人も加わり、毘沙門天と弁財天も集まって七福神となったとされています。
中国の八仙からきたという説
古代中国では「八仙(八福神)」という、仙人を信仰する風習がありました。この8仙人は全て実在の人物だったと言われています。
八仙は船に乗った姿で描かれていて、これが日本に伝わって七福神の絵姿となったという説もあります。
七福神の名前の覚え方
海老で鯛を釣るご老人
七福神の名前は独特なので、全員分は覚えづらいですね。そこで語呂合わせで覚える方法を紹介しますね。
海老で鯛を釣るご老人、初めが抜ける「は・ひ・ふ・へ・ほ」
それぞれの言葉に、七福神が含まれています。
- 海老 …恵比寿
- 鯛 …大黒天
- ご老人…寿老人
- ひ …毘沙門天
- ふ …福禄寿
- へ …弁天財
- ほ …布袋
「は」に該当する七福神はいないので、「初めが抜ける」としているんです。七福神の名前と語呂合わせを、一緒に覚えるとより効果的です。
まとめ
七福神は、ヒンドゥー教・仏教・道教の神様と日本の神様を組み合わせて、まとめて信仰するものです。宝船に乗った姿で描かれることも多く、家内安全や金運などのご利益が得られるんですよ。神様の名前は地名などでおなじみの方もいますが、ちょっと覚えにくい神様もいらっしゃいますよね。そんな時は語呂合わせを活用すれば、全員の名前が出やすくなりますよ。
お正月などでもおなじみの七福神は、実はすごい神様。しっかり覚えてご利益にあやかりましょう!