PR

葉隠は「異端の書」とか「人生の指南書」とかいわれる理由は?

スポンサーリンク
書籍

「武士道とは死ぬことと見つけたり」というフレーズを目にしたことある方は少なくないでしょう。これは「葉隠」という書物の一説であります。「葉隠」は異端の書とか人生の指南書とか評されています。話題は多岐に渡り細々とした処世術から、人生の真諦を示すものなど、人生に教訓を与えてくれる指南書と言えるものですね。

葉隠とは?

肥前国佐賀鍋島藩士・山本常朝が武士としての心得を口述し、それを同藩士田代陣基が筆録しまとめた一種の語録であり回想録です。

今日では「武士の聖典」とされていますが、そういう使いを受けるようになったのは明治以降のことです。それまでは、権力者にとって安全ではなく、過激で物騒な内容を含むため異端視されていました。鍋島藩の藩校の教科書として使われた事は一度もありませんでした。もっぱら藩士から藩士へ伝えられ、家々に秘蔵されてきました。

葉隠は首尾一貫した体系的なものではなく、折に触れて語った語録です。その内容は、人生観あり、、処世の知恵あ李、人物評あり、事件の記録ありと千差万別の内容でありました。長短あるものの1,343項目に及ぶ雑記です。

山本常朝(やまもとつねとも)はこんな人

佐賀藩士。幼名は松亀(まつかめ)。9歳のとき、2代藩主鍋島光茂(なべしまみつしげ)(1632―1700)に御側(おそば)小僧として仕え、ついで小小姓(こごしょう)となる。20歳で元服し、御側役、御書物役手伝(てつだい)となったが、まもなく出仕をとどめられる。これは光茂の若君にも目をかけられていた為、光茂が嫉妬したからだとか、若君への教育的配慮からだとか、考えられている。

この間、禅僧湛然(たんねん)に仏道を、石田一鼎に儒学を学び、旭山常朝(きょくざんじょうちょう)の法号を受け、一時は隠遁を考えたこともあった。

22歳のとき、ふたたび出仕し、御書物役、京都役を命じられた。42歳のとき、光茂の死の直前に、古今伝授一箱を京都より持ち帰った。光茂の死に際し、追い腹(おいばら)を願ったが果たせず、北山黒土原に庵(いおり)を結んで隠遁した。

「分け入りてまだ住みなれぬ深山辺(みやまべ)に影むつまじき秋の夜の月」はそのときの歌である。

常朝にはほかに、養子の常俊(つねとし)に与えた『愚見集』『餞別(せんべつ)』、鍋島宗茂(なべしまむねしげ)(1687―1755)に献じた『書置』、祖父、父および自身の『年譜』などの著述がある。

田代陣基(たしろつらもと)とは

田代陣基は19歳年下で、文筆に長じ、19歳の時から3代藩主綱茂の祐筆(ゆうひつ)役となった。しかし、32歳の時にゆえあって藩主綱茂の御側役を免ぜられ、翌年、宗寿庵(あん)に常朝を訪ねた、常朝51歳のときである。ここから田代陣基の筆録になる『葉隠(はがくれ)』11巻が生まれたのである。

常朝にはほかに、養子の常俊(つねとし)に与えた『愚見集』『餞別(せんべつ)』、鍋島宗茂(なべしまむねしげ)(1687―1755)に献じた『書置』、祖父、父および自身の『年譜』などの著述がある。

参考になる「葉隠」の一例

葉隠の中に は、嫌な上司からの酒の誘いを丁寧に断る方法や、部下の失敗を上手にフォローする方法等、現代の ビジネス書や礼法マニュアルに近い内容の記述があります。反省されられたり考えさせられたりす る部分が多くありましたので主なものを紹介いたします。

「生まれつきによりて、即座に智慧の出る人もあり。」

生まれつき、即座にいいアイデイアの出る人もいれば、枕を叩き割るぐらいに、考えた末に名案を出す人 もいる。とにかく生まれつきの差はあるものの、4つの誓願にもとづいて私を捨てて考えれば、思いもよら なかったような智恵すら出てくるのである。物事を深く考えれば、どのような事でも解決がつくように思う かもしれないが、「私」を基本にしたのでは、いくら考えたところで全てが邪智の働きとなって悪い方へと 傾いてしまうのである。

「何某当時倹約を細かに仕る由申し候へば、よろしからざる事なり。」

ある人が倹約について細々と説いているが、よくない事である。「水清ければ魚棲まず」ということわざ がある。藻がらなどがあるから、その蔭に隠れて、魚は成長するのである。少々は見逃したり、聞き逃した りするから、下々は安穏でいられるのである。人の品行なども、この心得があるべきである。

「人事を云うは、大きなる失なり。」

他人の事をあれこれ申すは、大きな損失である。かといって誉めるも似合わない事である。とにかく身の 程をよく知って自分の修業に精を出して口を慎むのがよい。

「徳ある人は、胸中に・・・。」

徳のある人は、胸中にゆるりとしたところがあって、忙しそうな様子がない。小人物は、静かなところが なく、人とも争い騒がしく動き廻るものである。

タイトルとURLをコピーしました