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「宝所近きに在り、更に一歩を進めよ」という茶席の禅語は、日常生活にも深い教訓を与えてくれる

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「宝所近きに在り、更に一歩を進めよ」という禅語は、茶席だけでなく日常生活にも深い教訓を与えてくれる言葉です。意味するところは、「目標や成果はすぐそばにあるが、最後の一歩を進めることで初めて手に入る」というもの。日々の努力を重ねる中で、もうすぐ達成できそうだと感じたときこそ、気を緩めずもう一歩進むことが大切だと教えています。

1. 「宝所近きに在り、更に一歩を進めよ」の意味

「宝所近きに在り、更に一歩を進めよ」は、禅の教えを含む禅語の一つで、主に茶席などで用いられます。意味としては、「目的地や求めている宝物(目標)はすぐそばにあるが、それに気づくためにはもう一歩の努力が必要だ」という教訓が込められています。

2. 禅語としての深い意味

この言葉は、日常生活や精神修養における「気づき」や「努力の大切さ」を強調しています。目標や理想に近づいたと思っても、油断せず最後の努力を惜しまずに行うことが、成功や悟りに繋がるという意味合いがあります。仏教では悟りに至る道が重要視され、その途中にある「最後の一歩」を踏み出すことが求められます。この一歩を進めることで、今まで見えていなかった真実や価値が明らかになるとされています。

3. 茶席における意味と役割

茶道においては、全ての動作や精神状態が調和され、完璧に近づいているときでも、さらなる向上心や注意を忘れないことが大切だと教えています。茶道は、単なる形式ではなく、精神修養の場でもあります。この禅語を通じて、茶道の参加者に対し「まだ完璧ではないからこそ、さらに慎重に、そして心を込めて行動すべき」という教えが伝えられます。

4. 日常生活への応用

この禅語は日常生活でも活かすことができます。仕事や人間関係、学びの場で「もうすぐゴールだ」と思ったときこそ、最後の一歩の努力が結果を左右します。多くの人は目標に近づくと気が緩んでしまいますが、成功はその最後の一歩にかかっていることを意識することが大切です。この禅語を心に留め、常に成長を求める姿勢を保つことが、人生の宝を手に入れるための道しるべとなります。

5.出典と背景

この禅語は、『法華経』の「化城喩品」に由来しています。物語では、道案内人が人々を珍宝のある場所へ導く途中、疲れた人々のために幻の城を作り休息させます。しかし、人々はその城での生活に満足し、さらに進もうとしなくなります。そこで、案内人は城を消し、「宝所は近くにある」と告げて再び人々を導く、という内容です。

宝所(ほうじょ)近きに在り、更に一歩を進めよ(毒語心経)

元来これは『法華経化城喩品(けじょうゆぼん)』にある次のような譬喩物語から出ている語であります。

一人の道案内人が、おおぜいの人を連れて珍宝を採りに出かけました。

しかし、道は遠く、そのうえ険悪だったので人々は途中でうみ疲れてしまい、

「われわれはもうクタクタで、これ以上一歩も進むことはできません。しかも前途ほど遠く、なんだかそらおそろしくさえ思われてきました。今のうちに引き返そうではありませんか」と言い出しました。

そこで案内人は一計を立て、方便力をもって途中に一大化城をつくり休息させることにしました。

ところが人々は、やがてその化城での生活に満足し切って、さらに進んで珍宝を採りに行こうという気を起こさなくなってしまったのです。

これではならぬと思った案内人は、そろそろ疲れもとれた様子でもあるので、その化城を消滅し、そして申しました。

(さあ皆さん、珍宝のある場所はもうすぐそこです。さきほどの城はほんとうのものではありません。休息するためにつくった幻化の空城なのです)

このようにして、再び人々を宝所に向かわしめた…..というのであります。

※「茶席の禅語」(西部文浄著) から引用

この物語から、「宝所近きに在り、更に一歩を進めよ」という教えが生まれました。茶席でこの禅語が用いられる際は、参加者に対して身近なところにある大切なものに気づき、それを求めてさらに努力することを促す意味が込められています。

最後に

「宝所近きに在り、更に一歩を進めよ」には、最後にどんでん返しがあります。そうです、悟りを得るかどうかの気づきがあるのです。宝所というのは彼岸のこと、極楽のこと、悟りのこと、般若の妙智のことであります。案内人はお釈迦さまです。

行けども行けども極楽には到達できないので、方便の化城を作り休ませますが、そこで止まっては本当の極楽には到達できません。そこで、もう少しですよと更に一歩を進めるのです。

比喩では、極楽は西にもあらで東にも、北(来た)道探せ南(みんなの身)にある

あきらめて帰ろうと思い、ヒョイと後ろを振り返ってみると、極楽が背中にピッタリとくっ付いていたのです。

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