スターバックスのロゴに登場する人魚なのですが、尻尾が二尾あるのです。え〜っ何で二尾なんですか？普通は一つの筈ですが不思議ですね。スターバックスのサイレンが二尾の尻尾を持つ理由には、歴史的なデザインの選択と、ブランドが伝えたいメッセージが込められているからなのです。
スターバックスのロゴに登場する人魚の由来とは？
スターバックスのロゴを見たことがない人はほとんどいないでしょう。あの特徴的な人魚、実は「サイレン」と呼ばれる神話的な存在なんです。でも、どうしてコーヒーショップに海の生物？と疑問に思うかもしれません。
スターバックスの創業者たちが1971年に初めてシアトルでお店を開いたとき、彼らはブランドに「海の冒険」というテーマを持ち込みたいと考えました。シアトルは港町として知られており、その歴史と密接なつながりがあるからです。そのため、彼らは古代の航海者たちが出会った「サイレン」をモチーフに選んだのです。サイレンは美しい歌声で船乗りを誘惑し、海の冒険に誘う存在として知られています。コーヒーもまた、多くの人々を魅了し、引き寄せる存在であるという象徴的な意味が込められています。
それにしても、人魚がコーヒーと関係あるのか？という疑問は当然です。しかし、スターバックスが目指したのは単なる「コーヒーショップ」ではなく、冒険心とエスケープ感を提供する場。そのため、神秘的で少し誘惑的なサイレンはぴったりのシンボルだったのです。
スターバックスの人魚ロゴの誕生秘話
スターバックスの人魚ロゴが誕生した背景には、シアトルという街の歴史が深く関わっています。シアトルはアメリカ西海岸に位置し、太平洋に面した港町として発展してきました。昔から多くの船が行き交い、シアトルは貿易や漁業の中心地として栄えてきたのです。この海とのつながりこそが、スターバックスのアイデンティティに影響を与えました。
1971年、スターバックスの創業者たちはシアトルで最初のお店をオープンするにあたり、この海と港町の精神をブランドに反映させようと考えました。彼らは、シアトルの歴史や文化を象徴する何かを求め、数々のシンボルを探しました。そして見つけたのが、15世紀の北欧の木版画に描かれた「二尾のサイレン」だったのです。このデザインは彼らに「神秘的で冒険的な精神」を伝える完璧な象徴として映りました。
「サイレン」をブランドの顔に選ぶことで、スターバックスは海に根付いたシアトルの街を感じさせ、同時に顧客に「未知への冒険」をイメージさせたかったのです。コーヒーは、ただの飲み物ではなく、世界各地から届けられる「冒険」の一杯。それを象徴するためのサイレンは、シアトルの地理的・文化的背景と絶妙に結びついた存在だったのです。
なぜ「サイレン」？神話的モチーフが選ばれた理由
スターバックスのロゴに「サイレン」が選ばれた理由は、単なるデザインの美しさだけではありません。サイレンは古代ギリシャの神話に登場する存在で、美しい歌声で船乗りを誘惑し、海の危険な場所へと導く力を持っています。この神話的なキャラクターが持つ「魅力」と「誘惑」の要素は、スターバックスのコーヒーが持つ特徴にも重なります。
コーヒーは、香りや味わいで人々を魅了し、日常の喧騒から解放しリラックスさせる効果があります。スターバックスはこのコーヒーの特性を、サイレンの誘惑に例えました。つまり、サイレンはただの海の神話的存在ではなく、スターバックスが提供する体験そのものを象徴しているのです。
また、創業者たちはスターバックスがただコーヒーを売る店ではなく、顧客に「心地よい場所」を提供したいという思いを持っていました。サイレンのロゴは、単に海にまつわるシアトルの文化的背景を反映しているだけでなく、コーヒーによって人々を引き寄せ、スターバックスというブランドの「体験」に誘う存在としての役割を担っているのです。ロゴに込められたこのメッセージが、スターバックスを単なるコーヒーチェーン以上の存在へと押し上げる重要な要素となっています。
スターバックスの人魚が時代とともに進化する理由
スターバックスのロゴは、創業当初から何度か変更されていますが、その中心には常に「サイレン」がいました。1971年に初めて登場したロゴは、今とはかなり異なるもので、古い船乗りの木版画にインスパイアされたものでした。複雑な線で描かれた二尾のサイレンが、クラシックな印象を与え、スターバックスが掲げる「伝統」と「品質」を強調していました。
しかし、時代が進むにつれて、ブランドイメージや消費者のニーズが変わり、ロゴも進化を遂げていきます。1987年、スターバックスが拡大路線に乗り出した時期に、ロゴはより現代的でシンプルなデザインに変更されました。この時、茶色だったロゴが緑色になり、サイレンの全体像から上半身だけが強調されるようになったのです。この変化は、スターバックスが成長し、よりクリーンで洗練されたブランドイメージを構築するためのものでした。
さらに2011年、創業40周年を迎えたスターバックスは、ロゴを大きく刷新しました。サイレンの姿はさらにシンプルに、そして大胆に描かれ、もはや「Starbucks Coffee」という文字も必要なくなりました。これにより、スターバックスはコーヒーだけでなく、グローバルなライフスタイルブランドとしての地位を確立したことを象徴する形となりました。
このロゴの変遷は、スターバックスが時代の流れや顧客の期待に柔軟に対応しつつも、コアなブランド要素である「サイレン」を常に守り続けてきたことを示しています。進化しながらも、スターバックスの「魂」は変わらず、世界中のファンを引きつけ続けています。
ロゴデザインを手掛けたデザイナーたち
スターバックスのサイレンロゴの背後には、デザイナーたちのクリエイティブな視点とこだわりが隠されています。1971年に初めてロゴをデザインしたのは、創業者の友人でもあったデザイナー、テリー・ヘクラーでした。彼は、シアトルの港町としての歴史や、コーヒーが航海で世界中を巡るものというテーマに着目し、「サイレン」という神秘的なモチーフを見つけました。彼が手がけた最初のロゴは、北欧の木版画を基にした二尾のサイレンで、古風で独特な魅力を持っていました。
その後、1987年に行われたロゴの刷新には、デザインエージェンシー「Lippincott」が関与しました。この時のデザイン変更は、スターバックスが店舗展開を急速に拡大していくタイミングで行われ、よりモダンで親しみやすいイメージを求められました。緑色の配色や、サイレンを強調したデザインは、ブランドの成長を象徴するとともに、コーヒーの品質と一貫性を示すシンボルとして、サイレンが重要な役割を果たしていることを再確認させました。
2011年の大きなロゴ変更では、スターバックスのクリエイティブチームが中心となり、世界中の店舗展開やブランドの多様化を意識したシンプルで大胆なデザインへと進化させました。この時の大きな決断は、「Starbucks Coffee」の文字を取り除き、サイレンだけを残すというものでした。スターバックスのアイコン的な地位が確立されていたため、文字なしでもサイレンだけでブランドを象徴できるという自信の表れでした。この変更により、ロゴはさらにシンプルで洗練されたものになり、世界中の人々に愛され続けるブランドアイコンとしての地位をさらに強化しました。
デザイナーたちの視点は、スターバックスがただのコーヒーチェーンではなく、独自の「体験」を提供するブランドであることを常に念頭に置いています。そのため、時代が進むにつれて、ロゴも単なるデザインではなく、スターバックスの哲学や価値観を伝える重要なツールとなり続けているのです。
まとめ
スターバックスのロゴに描かれている「サイレン」（人魚）が二尾の尻尾を持っている、いくつかの理由と背景は以下のようなものです。
1. 北欧の木版画に由来
スターバックスの初代ロゴは、15世紀の北欧の木版画に基づいており、この絵に登場するサイレンが二尾の尻尾を持つデザインだったのです。創業者たちは、この古代のデザインに惹かれ、それをロゴに採用しました。
2. 神秘性と魅惑の象徴
サイレンは神話の中で、美しい歌声で船乗りを誘惑し、航海者を海に引き込む存在として描かれます。二尾の尻尾を持つサイレンは、さらに非現実的で神秘的なイメージを強調し、その「魅惑する力」を視覚的に強化しているとも解釈されます。
3. シンボリズムの強化
二尾の尻尾は、スターバックスが提供するコーヒーが持つ「魅力的で心を惹きつける力」を象徴しています。サイレンが持つ神秘的な魅力と、コーヒーが人々を引き寄せる感覚がリンクしており、ロゴを通じてそれを視覚的に伝えているのです。
スターバックスのサイレンが二尾の尻尾を持つ理由には、歴史的なデザインの選択と、ブランドが伝えたいメッセージが込められているのです。
